今回は、ホラー小説『斬首の森』について、感想レビューをお伝えしていきます。
一部、ネタバレをしている部分もありますので、ご注意ください。
【斬首の森】あらすじ
鬱蒼と暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。男女五人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、五人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていてーー
引用元:Amazon
【斬首の森】登場人物
物語の冒頭で、「ああ、この人は生き残ったのか」と分かる展開があるのですが、その生き残った理由が最後に明かされ、衝撃を受けました…。
メインの登場人物に加え、研修を仕切るT社の幹部や、途中から森の中に現れる謎めいた女性など、怪しいキャラクターも登場し、物語も加速していきます。
【斬首の森】感想・レビュー(ネタバレ注意)
最後の最後に真相が明かされた瞬間の「ぞわぞわ」とした感覚が、ものすごく強烈でした。
怪しげな研修を行うT社や、たくさんの刃物がぶら下がった不気味な大木など、物語には多くの「謎」が散りばめられています。
最後まで読み進めてようやく真相に辿り着いたとき、恐怖がじわじわと押し寄せてくるような感覚を味わいました。
「主役は誰?」と問われれば、30代の女性・アユミだと思います。
彼女が体験した出来事をインタビュアーのオダに語る形で、真相が徐々に明らかに…。
物語の中では、メインの登場人物が次々と命を奪われます。
「えっ!うそ
」
「えっ?なんで?」
「えっ?えっ?最後まで生き残るって思ってたのに!!!!」
「なんで~~~~~~~!!!!!」
こんな感じでした(笑)
その手口はどれも凄惨で、首を斬られた後、胴体が行方不明になるという奇妙なもの…。
さらに物語の後半では宗教的な要素が絡み合い、「なぜ胴体が見つからないのか」という謎が解けた瞬間、想像を超える衝撃が。
この物語は、「火の玉」(隕石)が物語全体の鍵を握る重要な存在なので、その点が明らかになったときにより深い恐怖を味わえると思います。
毎回、澤村伊智先生の作品は面白いのですが、今回も存分に恐怖が味わえる内容でした。
登場人物たちの共通点に注目すると、人間社会における自分の立ち位置をどのように求めているのかが浮き彫りになっていく作品でもあります。
最初、T社は似たような思想を持った人々をターゲットにして金儲けをしているのかと思っていましたが、真相は全く異なる方向にあり、その点も非常に興味深かったです。
ホラーとしても十分に読み応えがあり、誰が犯人なのかというサスペンス要素も加わって、まさにノンストップで読み進められる作品でした。
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