「もう実家が物でいっぱいで…片付けたいけど、親が全然協力してくれない」
「片付けようと言うと、不機嫌になったり怒られてしまう…」
そんなお悩みを抱えていませんか?
実は、親世代が片付けを拒むのには理由があります。
この記事では、なぜ親が反対するのか、その心理と、少しずつ片付けを進めるためのヒントをお伝えします。
なぜ親は片付けを拒むの?
親世代にとって、「片付け=不要な物を捨てる」という行為は、私たちが思っている以上に心のハードルが高いものです。
ただの「整理整頓」ではなく、これまでの人生や思い出と向き合う行為だからこそ、抵抗感が生まれてしまうのです。
以下に、親が片付けを拒む主な理由を3つ挙げてみます。
1.「もったいない精神」が根付いている
親世代は「物を大切に使う」ことを美徳として育ってきました。
戦後の物資が不足していた時代を経験している方も多く、たとえ古くなっても「まだ使えるから捨てるのはもったいない」と感じるのはごく自然なことです。
また、使っていなくても「いつか使うかもしれない」「誰かにあげられるかもしれない」という気持ちが強く、物を手放すこと自体に抵抗があります。
この価値観を否定せず、「気持ちよく使える物だけを残すと、もっと大切にできるかもね」といった前向きな提案が、親の心を動かす第一歩になることもあります。
2. 捨てる=思い出を否定されると感じている
親世代にとって、長年そばに置いてきた物には、たとえ使っていなくても“思い出”が宿っています。
子どもの成長を見守ってきた家具や、亡き家族との思い出が詰まった品などを「捨てよう」と言われると、それは“過去の自分の人生を否定された”ような気持ちになってしまうのです。
また、若い世代の「使わない=いらない」という考え方と異なり、「物を見るだけで当時のことを思い出せる」こと自体に価値を感じている方も少なくありません。
片付けを進める際は、物そのものではなく、その人の記憶や気持ちを大切に扱う姿勢がとても大切です
「この思い出、大事にしてたんだね」と共感を示すことで、心を開いてくれることもあります。
3. 「老い」を認めたくない
実家の片付けを提案したときに親が強く反発するのは、「自分が年を取ったことを受け入れたくない」という心理が隠れていることもあります。
「片付け=終活」や「身の回りを整理する=老い支度」と感じてしまい、「もう若くない」「先が短い」といった現実を突きつけられたような気持ちになるのです。
特に、元気に暮らしている方ほど、「まだ自分には必要ない」と反発する傾向があります。
だからこそ、片付けを提案する際には「将来ラクになるために」「今の暮らしをもっと快適にするために」という前向きな言葉を選ぶことが大切です。
「年を取ったから」ではなく、「今をよりよく暮らすため」に整理整頓を提案することで、抵抗感を和らげることができますよ。
親が片付けに協力してくれるようになる5つのヒント
親が片付けに非協力的なとき、無理に進めようとしても関係が悪化するだけで、うまくいきません。
大切なのは、親の気持ちに寄り添いながら、少しずつ行動につなげる工夫をすることです。
ここでは、親が片付けに前向きになってくれるための5つのヒントをご紹介します。
ヒント①:まずは「捨てたい」ではなく「使いやすくしたい」と伝える
「これもういらないよね?」「捨てた方がいいんじゃない?」
そんな言葉をかけると、たとえ悪気がなくても、親は「責められている」「否定されている」と感じてしまいがちです。
そこで大切なのが、“片付けの目的”を変えて伝えることです。
片付け=捨てることではなく、親の暮らしをより快適に・安全にすることだと伝えることで、自然と協力してもらいやすくなります。
- 「最近ちょっとつまずきやすくなったって言ってたよね。通り道だけでも広くしておこうか?」
- 「この棚の中、取り出しづらくて困ってない?使いやすく並べ直してみない?」
- 「お母さんがいつも使う場所だけ、使いやすく整えてみようよ」
など、親の立場に立った声かけをすると、ぐっと心の距離が近づきます。
また、「捨てる・減らす」よりも、「整理する・取り出しやすくする・安全にする」といった前向きな言い換えを意識すると、親の警戒心を和らげることができます。
実際、「使いやすく整えたい」という理由で始めた片付けがきっかけで、親が「これもう使ってないかも」と自然に手放すようになることもよくあります。
焦らず、まずは“暮らしの改善”を目的に、片付けの第一歩を踏み出してみましょう。
ヒント②:「今すぐ全部片付ける」はNG!小さく始める
親に対して「全部片付けよう」といきなり提案してしまうと、プレッシャーが大きくなりすぎて、逆に拒否されてしまうことがあります。
特に年を重ねた方にとっては、「大量の物を一気に見直す」という作業は身体的にも精神的にも大きな負担です。
そこでおすすめなのが、“小さな場所から始める”戦略です。
- 台所の調味料のストックだけを見直す
- 廊下の床に置かれている荷物だけを片付ける
- 1日1袋分だけ、不用品をまとめてみる
こうした「一つ終わったら気持ちがスッとした」「そんなに大変じゃなかった」という小さな成功体験を重ねることで、親の気持ちも前向きになっていきます。
また、「1ヶ所終わったら、お茶しよう」など、短時間で終わる目標とちょっとしたご褒美を用意するのも効果的です。
重要なのは、“片付ける=大変”というイメージを払拭すること。
「ちょっとずつでもいいんだよ」というスタンスを伝えることで、親の心のハードルを下げることができます。
ヒント③:第三者のアドバイスを活用する
親が自分の子どもから言われたことに反発してしまうのは、実はよくあることです。
特に「捨てよう」「片付けよう」といった話題は、指図されているように感じてしまい、つい心を閉ざしてしまうケースも。
そんなときに有効なのが、第三者の意見をうまく取り入れることです。
- 「この前テレビで見たけど、高齢者の転倒防止には、通路を広くするのが大事なんだって」
- 「雑誌に『冷蔵庫をスッキリさせると節電になる』って載ってたよ」
- 「近所の〇〇さん、最近片付けてスッキリしたって言ってたよ」
というように、親が信頼しやすいメディアや人を“きっかけ”にすることで、自然と話を聞き入れてくれることがあります。
また、高齢者向けの地域包括支援センターやシニア向けの暮らしサポートサービスなどを活用すれば、専門家の視点からアドバイスをもらうこともできます。
プロの意見として伝えることで、「他人も言ってるなら、少し考えてみようかな…」と、気持ちがやわらぐことも。
もし親が医療や健康に関心があるタイプなら…
- 「主治医の先生に相談してみる?」
- 「転倒防止のために、家の中の環境を見直すのがいいって書いてあったよ」
といった切り口からアプローチするのもおすすめです。
大事なのは、「私が言いたい」ではなく、“誰かの言葉を借りて伝える”という工夫。
それだけで、驚くほど話がスムーズに進むこともあります。
ヒント④:いらないものの「行き先」を提案する
親が物を手放せない理由のひとつに、「まだ使えるのに捨てるのはもったいない」という気持ちがあります。
そんなときは、「捨てる」ではなく、「誰かに使ってもらう」「別の場所で役立ててもらう」という選択肢を示すのが効果的です。
- 「この服、地域のフリーマーケットに出せるみたいだよ」
- 「この食器、子ども食堂で募集してたよ」
- 「昭和の雑誌、古本屋さんが喜んで買い取ってくれるかも」
といったように、“その物が別の場所で活かされる”というイメージを持ってもらうと、手放すことへの罪悪感がグッと軽くなります。
また、親が物に込めた思いを尊重する姿勢も大切です。
「これ、すごく丁寧に使ってたもんね。だからこそ、次に必要な人に譲ろうよ」などと声をかければ、「大事にしてきたことを理解してくれている」という安心感にもつながります。
さらに、処分に悩む物については、
- フリマアプリ(メルカリなど)
- リサイクルショップ
- 寄付団体
- 市区町村のリユース支援窓口
といった具体的な受け皿を一緒に探してあげると、親の背中をそっと押すことができます。

ヒント⑤:親が気に入る「収納」や「片付け用品」を一緒に選ぶ
片付けをスムーズに進めるためには、親自身が“使いたくなる収納用品”を取り入れることも大切なポイントです。
こちらが一方的に収納グッズを用意してしまうと、「使いにくい」「好みに合わない」といった理由で、結局放置されてしまうことも…。
そこでおすすめなのが、一緒にお店に行って選んだり、カタログや通販サイトを見ながら相談したりすることです。
「これ、お母さんの部屋に合いそうじゃない?」
「軽くて引き出しやすいって口コミに書いてあるよ」
など、楽しみながら“選ぶ時間”を共有することで、親自身も片付けに前向きになれます。
また、親世代は「和風」「木目調」「昔ながらのデザイン」に愛着があることも多いため、見た目の好みに配慮することもポイントです。
派手すぎず落ち着いた色合いのもの、工具不要で組み立てやすいタイプなどを選ぶと、使いやすさと安心感の両方が得られます。
さらに、「これを使うことでラクになる」というイメージを具体的に伝えるのも有効です。
たとえば、
「キャスター付きなら重い物でも移動しやすいね」「キャスター付きだと掃除もしやすいね」
といったふうに、親の生活動線に合った提案をすることで、実際に使ってもらえる可能性が高まります。
無理に進めるより、”気持ちに寄り添う”ことが大切
実家の片付けをしたいと思っても、親がなかなか協力してくれない…そんなとき、焦りやイライラから「早く片付けてよ!」と言いたくなることもあるかもしれません。
でも、大切なのは、親の気持ちに寄り添うことです。
年を重ねた親にとって、家にある物はただの「モノ」ではなく、思い出そのものだったり、長年の暮らしの一部だったりします。
急に「いらないでしょ」「捨てようよ」と言われれば、心の中で「自分の人生を否定されたような気持ち」になってしまうのも無理はありません。
特に、
- 昔のアルバムや日記帳
- すでに使わなくなった趣味の道具
- 贈り物でもらったけど出番のない食器
などは、物以上の意味や感情が詰まっていることが多いです。
そういった背景を理解しながら、「これはどんな思い出があるの?」「使っていなくても、大事なものなら取っておこうか」
といった言葉をかけてあげることで、親自身も“ただ否定されているわけではない”と安心できるようになります。
片付けは、物理的な空間を整えるだけでなく、親子の関係を見直す時間でもあります。
ときには思い出話に耳を傾けたり、一緒に昔の写真を眺めたりしながら、「ゆっくり、気持ちを整える」ことを大切にしていきましょう。
「早く片付けなきゃ」ではなく、「一緒に、これからの暮らしを整えていこうね」という姿勢が、何よりも大切です。
まとめ
実家の片付けは、単なる整理整頓ではなく、親の気持ちやこれまでの人生と向き合う時間でもあります。
スムーズに進めたいという子世代の気持ちと、まだ手放したくない、今の暮らしを変えたくないという親の気持ち。
どちらも間違いではなく、それぞれに理由があるからこそ、歩み寄りが大切です。
今回ご紹介したように、
- 「全部捨てる」ではなく「使いやすくする」ことから始める
- 親が納得できる“行き先”や“目的”を示す
- 気持ちに寄り添い、第三者の力もうまく借りる
といった工夫を取り入れることで、少しずつ前に進むことができます。
焦らず、無理せず、親と“これからの暮らし”について対話を重ねること。
それが、片付けを成功させる一番の近道です。
親との関係を大切にしながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
あなたのその優しさと行動が、きっといつか親の心に届きます。

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